つるつるつうしん

おそらくデジタル小物のお話とかが中心。

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親父、歌う!

午後から、親父が参加してる合唱団の合唱コンサートがある。夜勤明けでものすごく眠いんだけど、コンサートのあとも夜勤があるんだけど、観に行く。

でも大丈夫。あらかじめ前日の夜勤中に、同僚に話を通してあるんだ。

「夜勤明けに親父の合唱団のコンサートを観に行くんです」
「え、じゃあ寝る時間がないんじゃないですか?」
「ええ。だから、明日の夜勤は(職場で)寝ます。起こしても起きません。」
「え」
「僕の分まで頑張ってください」

職場から帰宅して自宅で軽く朝食を食べ、着替えてたら出発の時間が迫ってきた。待ち合わせ場所の駐車場へ向かう。僕が一番乗りだった。しばらく待つと弟家族+母(と黒い盲導犬。以下、黒)がやってきた。母は僕を見るなり声をかけてきた。

「来るんや! 絶対来えへんと思っとったのに」

…ま、家族内での僕の位置づけなんてこんなもんか。ちなみに親父(と白い盲導犬。以下、白)は僕たちより早く開場入りして準備しているので、ココにはいない。弟の運転で車が出発する。僕はすぐに弟に声をかけた。

「停めて」
「どーしたん」
「チケット忘れた」

危うく会場に入れてもらえないトコロだった。

コンサート会場の市民会館は、まだ入場時間前だというのにヒトで溢れかえっていた。狭いスペースを有効に使うため、Sの字に行列ができている。

列の最後尾に並んで開場まで待つ。その間も、列はどんどん尾を伸ばしていく。黒がさっさと床に寝そべってくつろぎだす。お前仕事中だろ。リラックスしすぎと違うか。あ、あくびした。4本の足を全力で伸ばした。後ろの列に並んでいる赤の他人を蹴った。盲導犬のするコトじゃねぇぇぇ。

そんなこんなで開場時間になり、列が動き出す。のろのろと前進していると、弟が僕を呼ぶ。

「隣の列に親戚のおばさんがおるで」
弟の指す方を見ると、確かに親戚のおばさんがいる。S字に並んでいるので隣の列にいるおばさんは僕たちの方に向かって歩いてくる。お互いの距離が徐々に縮まる。僕は渾身の笑顔でおばさんに挨拶をした。
「こんにちわ!」

完全にスルー。

も、もう年だしな。耳が遠くなってるのかも知れん。今度はもう少し大きな声で挨拶をした。

「こんにちわ!」

またもやスルー。

お互いの距離がどんどん縮まり、とうとう真横に並んだ。そして、奇跡が起きた。おばさんは僕の方を見た。そのとき確かに、目と目が合った。

「こんにちわ!」

もう慣れた。

おばさんは何事もなかったかのように僕の真横を通り過ぎ、背中へと消えていった。誰か僕を見てよ! 僕に気がついてよ! 僕はココに、ココにいるんだよ!

気を取りなおして大ホール入り、座席に座る。黒も母の隣に寝そべって静かにしている。

「静かに寝てるやろ」
「うん」
「コンサートが始まったら、『うるさくて眠られへん』って不満そうに唸るねんで」

黒よ。お前ホントに盲導犬か?

開演を待っていると、母が鞄の中からプログラムを取りだして眺め始めた。

「プログラムが上下逆さまやで」
「ええねん。どーせ見えへんのやから」

なんのために取り出したんだ。

「この合唱団って何が有名なん?」
「白もお父さんと一緒に舞台に出てるトコロ。ジッと待ってて偉いって人気あるねんで」

それは…「合唱」と何か関係があるんだろうか。

長い行列に並び、長い開演時間を待ち、ようやく幕が開く。合唱団がステージに現れた。真正面に親父と白がいる。そして歌い出す。

「ね~む~れ~、ね~む~れ~、重いまぶたよ~」

うぉぉキツい! 夜勤明けにこの歌詞はキツい! なんで子守唄なんだ!

「ね~む~れ~、ね~む~れ~、安らかに~」

ヤメろー。ヤメてくれ…。

その夜。僕はいつも通り出勤した。

「おはようございます、もさゆらさん。お父さんのコンサートはどうでした?」
「よく眠れました」
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  1. 2011/01/25(火) 18:40:00|
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